Ponzu(西村曜)
こんばんは。西村曜です。水たまりとシトロン八巡目のテーマは「調味料」です。しかしへんなテーマだな……とテーマ決定のときおもったのですが、やっぱりへんなテーマだな……。とりあえず書いていきます。
昨年の冬に開催されたとある歌会にわたしは以下の歌を提出しました。
この冬に空けたぽん酢の瓶数え月に住むっていいかもしれん
歌会で議論となったのは「そもそも一冬にそんなにぽん酢を空けるだろうか」ということでした。参加者の意見は「そんなに空けないだろう」というところに落ち着いたと記憶しています。歌の作者は秘されている歌会なので、わたしはおどろきに目をしぱしぱしながらしずかにその意見を聞いていました。ええ、みなさん、そんなに一冬に何本もぽん酢を空けないの……?
うちは一昨年の冬から土鍋を導入しまして、それから事あるごとに夫が鍋しよう、鍋しよう、と鍋に積極的で、そのとおりに鍋ばかりしています。キムチ鍋や豆乳鍋などもさいきんはするようになりましたが、もっとも頻度が高いメニューは水炊きです。豚肉と、白菜か水菜かの葉物、あとはしい茸ととうふていどの具材をぽん酢でいただくのです。ぽん酢は「天翔ゆずぽん酢」というものと決まっていまして、このぽん酢がなにせうまい。うまいのにそんなにお値段高くない。なにやら宣伝めいてきましたが、そんなわけでうちは一冬になん度もなん度も水炊きをし、ぱかぱかぱかぱかぽん酢の瓶を空けているのです。ひと月で二、三瓶は空けていますので、ひと冬だと六〜九瓶ということになるでしょうか。こうやって改めて数えるとおそろしくなってきました。
しかもこれは空けた鍋用のぽん酢の総数でして、うちには鍋用ぽん酢とはべつに料理用ぽん酢(「ふつうぽん酢」と呼んでいます。ちなみに鍋用ぽん酢の「天翔ゆずぽん酢」は「いいぽん酢」と呼びます)えっと、そう、料理用ぽん酢も別途あるのです。これもワンシーズンに二瓶は空けるでしょうか。だんだんこわくなってきましたが「この冬に空けたぽん酢の瓶数え」とはそんなけして一般的ではない、とだんだん認めざるを得なくなってきた背景をもつ上句なのでした。下句の月に住むうんぬんは割愛します。でもほんとにみなさん、そんなにぽん酢を空けないのかな……ほんとですか……。
何度でも生まれかわって冬がきて好きな「ぽん」ならだんぜんぽん酢
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